今日のホームルームは女流王将、香川愛生(かがわまなお)さんのお話。現在立命館大学文学部に所属し、学生でありながらプロの棋士として活躍しています。そのアイドルのような可愛いルックスもさることながら、対局が始まるとその可愛らしい表情が勝負師の顔に一変し、負けん気を前面に出す攻めの将棋をさすのが彼女の持ち味です。
 
 香川さんは「負けず嫌いは昔からです」と自分で言っているように、将棋を始めた動機も小学三年生の時の将棋好きなクラスメイトの男子にこてんぱんにやられたことがきっかけでした。「悔しい!」と近所にある将棋クラブに通い始め、目上の人たちに教えてもらううちに将棋にのめりこんでいったそうです。長年通った習い事を辞めてまで将棋に打ち込んだ結果、その腕前は小学六年生の時に女流アマ名人戦で優勝、中学一年生でそのタイトルを二連覇し、さらに全国中学生選抜将棋選手権大会の優勝にまで至ることに。
 
 そして、中学三年生で女流棋士となり、当時の最年少記録を更新。しかし、彼女自身は「成績も内容も納得のいかない将棋が続いて、こんな自分がプロを名乗っていいのか」と悩んでいた。結局、プロ棋士養成機関である「奨励会」の入会試験に挑戦し、合格を手に入れるもそれと同時に女流棋士を休会した。既にプロとして認められていたものを休み、改めて自分が心から納得するプロを目指す決断をしたのがなんと十六歳の事であった。挫折を受け入れ、自問自答を繰り返し、最終的に出した決断は女流棋士への復帰でした。奨励会の退会から1年半後のことである。新天地で出直そうと生まれ育った関東を離れ、親の反対を押し切り関西の大学へ進学を決めたのもこの時でした。

 その後、彼女は復帰から二年目にして女流王将のタイトルを得たのである。本人にとっては想定外のことだったそうだが、持ち前の負けん気を発揮し、翌年もそのタイトルを保持し続けている。「前しか見ない香車に惹かれる」というのが香川さんの信条だそうだ。

 この香川さんの話を聞いて、彼女の心境や状況に自身の現在の状況とダブるような感覚を味わった生徒さんもいると思います。挫折を味わい、自問自答を繰り返し、周りと比較して自己嫌悪に陥ったりと、多くの感情を味わったことでしょう。それでも、負けない気持ちを持って、香車のごとくまっすぐに突き進んで医学部合格のタイトルを手にしてもらいたい、心からそう願っています。